les feuilles

ルボア卒業生AMPP認定マスター/メディカル・フィトテラピストによるフィトテラピーな毎日

フィールドワーク「薬用植物園に行こう!」

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初夏らしい爽やかなお天気に恵まれ、フィールドワーク日和となった今週末。参加者のみなさまと、八王子の東京薬科大学の「薬用植物園」に行ってまいりました。簡単にそのレポートをさせていただきます。

薬用植物は何千年も前から人々の病気の治療に利用されてきました。現在でも医療品の原料として大量に使われています。また、薬用植物から新薬を開発する研究も盛んに行われています。

あの「タミフル」だって、植物成分からつくられているのをご存知ですか?
中華料理で香辛料に使われる「八角」から採取されるシキミ酸がタミフルの原料として合成、供給されています。インフルエンザ・ウイルスに人間が対抗する対処薬がやはり自然界の植物からと言うのは、凄いことに思います。

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さて、今回フィールドワークの場所に選んだのは、東京薬科大学の植物園です。面積が41,000㎡あり、東京都で最も広い薬用植物園です。ここで、見られる野生植物は約500種、栽培している植物は約1,500種です。こちらは、薬用植物に関する教育と研究を目的として設置されていますが、現在では一般の方々への公開も大切な役割になっていて、数年前から定期的にお伺いしております。ちょうどこの季節は、新緑のエネルギーで満ち溢れとっても気持ちのよいキャンパス。出会う樹木も薬効のあるものばかり。ちょっとマニュアックではありますが、フィトテラピストのみなさんも参加してくださ
って、植物博士になった気持ちで、みんなで楽しんできました。

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植物園の見学にあわせて開催される、ふたつの講義にも参加しました。

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①「アロマセラピー精油と痛み軽減への可能性」
②「薬草と毒草(2)」

痛みの緩和は、フィトテラピーの得意分野。痛みに効く精油の検証データも提示されました。さらに、効果の裏付けとなる研究が進んでくれることを願っています。②については、毒をもって毒を制す。薬の成分として活用していくための重要な植物の興味深いお話しが聞けました。

こちらの内容については、「フランスの薬学」と比較して、生活に役立てていただけることを別途、フィトテラピー実践講座でフィードバックしていきたいと思います。

 

講義の後は、いざ、薬用植物園へ。

その前に・・・医薬品開発は、原料となる植物の特定成分を化合して西洋薬に、生薬のまま活用したり、処方薬として活用できるような漢方薬になったりと、その姿を変えて、植物の恩恵を私たちはうけているのです。

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 さて、キャンパスの谷になっているところには、池があって蓮もきれいです。

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キャンパスの木々、池の蓮の花、植物園のある丘へと続く道すがら ダイダイの木をみつけました。小さなお花のうしろには、大きなダイダイ。となりには、ザクロ。・・・
生きた植物図鑑です。ビターオレンジの一種である「ダイダイ」のお花から抽出されるネロリ精油のとっても良い香りです。精油はとても高価ですが、植物そのものは、花だけでなく、葉、皮で幅広い用途があります。

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 そして、植物エリアへいざ。現役の大学生たちが熱心に説明もしてくれます。葉をちぎって香りをかがせてくれたり、ちょっとデンジャラスな香りのものもあるので、助かります。

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2015年にノーベル医学生理学賞の植物。抗マラリア薬の開発につながった「クソニンジン」さすが、薬用植物園です。実物をみると、なんでこんなかわいそうな和名がついているのかしらと思ってしまいます。

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 同種の植物は、比較してできるように配置も考えられています。お花の違い、香りの違いがを確かめに行ったり来たり。とっても楽しいです。カモミールやラベンダーやウコンまで! 

青林檎の味と例えられるカモミールティーは、こちら「ジャーマン」の方です!!

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お身体の焦げ付き=抗糖化に役立つハーブティーは、「ローマンカモミール

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大好きな「ラベンダー」がずずずいーーっと並んでいます。

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抗ガン薬にもなるウコンも色々。薬効も違いがあるんですよ。

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温室には南国のこんなものまで。マダガスカル産やフィジー産が有名な「バニラ」の果実 まだ青いさやです。いんげんまめ みたいです(笑) バニラは鎮静効果が高く、不眠に活用できる植物です。あの香り幸せな気持ちになりますよね。

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カカオ!!  この実をあけると中は真っ白なんですよ。カカオバターと種が入っています。カカオの茶色いいろは、この外の皮の色なんですよ。

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アーティチョーク」の立ち姿は、ド・迫力!!  苦みの成分が肝臓の機能を強化し、胆汁の分泌を促進してくれます。肝臓のダメージを和らげ、二日酔いや吐き気も抑えてくれますので、よくお酒を飲むという人にぴったりのハーブです。さらに、血中コレステロール値や中性脂肪値を下げる働きがあることが報告されています。実際に、このハーブから高コレステロール血症の薬が精製されているんですよ。

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「アマ」は、その種子を圧搾して採取する「亜麻仁油」で、ただ今ブレイク中の植物。オメガ3脂肪酸が含まれ、血管の健康の維持,脳細胞の活性,炎症抑制作用,うつ症状の緩和,肌の健康維持などに効果が高く、生活習慣病の予防と美容の目的として、人気が高まっている油ですね。

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本当は紫色のかわいい花が咲いているんですけど・・接写すぎて色がわかりませんね(笑)

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韓国茶で有名な「ナツメ」の木。

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ちっちゃな粒がナツメの花のちいちゃいのが出はじめています。

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そしてこうなるのです

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樹皮を実際に剥いてみる体験もしました。樹皮を剥がすのは案外簡単。
ツルツルになった木には、タップリの木の水分したたり落ちるくらい。樹液ってなんであんなにたくさん採れるのかが納得です。

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フィールドに出ると、楽しく生きた勉強ができます。
次回の植物園に行こう! は、9月30日です。ご興味のある方、ぜひご一緒にまいりましょう。最後に、今回ご一緒してくれたみなさんです。ありがとうございました。

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来週は、カミツレ(=ジャーマンカモミール)の畑へまいります。

そして、今月の「季節のハーブのおたより講座」は、6/24(土) カモミール編を開催いたします。どうぞお楽しみに♡