les feuilles

ルボア卒業生AMPP認定マスター/メディカル・フィトテラピストによるフィトテラピーな毎日

美しく香り豊かなローズは「飲む薬」

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南仏の薔薇・センチフォリア 2017年7月 奇跡の薔薇は復活を遂げていました

ローズは観賞し、そして香りを楽しむもの。いえいえ それだけではなく、「ローズは、飲むもの」でもあります。フランスやブルガリア、イランなどでは、薔薇の「フローラルウォーター」を飲用として活用しますし、薔薇のつぼみのお茶や、花びらのコンフィチュールなどもあります。30代になりたての頃だったと思います。友人が、香港で買ってきた貴重なお茶があるといって、薔薇の小さなつぼみのお茶を入れてくれました。とても小さなものでしたので、おそらく早摘みのつぼみだったのではと思います。また、香港へ行ったときに、有名なホテルのローズジャムをいただきにわざわざ出向いたりと、思えば、フィトテラピーを志す以前から、華やかな特別なものとして食していたのを思い出しました。 

アロマテラピーで使う精油の多くは、「水蒸気蒸留法」という方法によって製造されます。水蒸気蒸留法は、原料の植物を水蒸気で蒸し、その植物の芳香成分を含んだ水蒸気を冷却します。すると、親水性の成分を含んだ水と、親油性の成分が得られます。親油性の成分のほとんどは水よりも軽いため、上に浮かびます。この親油性の成分が、精油になります*。

そして、(下に沈む)親水性の成分を含んだ水が、フローラルウォーターです。つまりフローラルウォーターとは、「ハーブ(芳香植物)を水蒸気蒸留することによって得られる芳香成分を含む水溶液」のことをいいます。*その成分のほとんどは親水性ですが、精油成分も少量含みます。*水よりも重い精油も一部あります。

 

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水蒸気蒸留法(フリー画像からの引用)


◇はじめての出会い

ローズのフローラルウォーターとのはじめての出会いは、30年近く前になります。和菓子屋さんから買った1本の「ローズ水」。「玉屋」(大角玉屋)という苺大福の考案で知る人ぞ知る 四谷三丁目の和菓子屋さんですが、お近くだったこともありオフィスに苺大福を売りに来ていたんです。昼休みに大福買いたさに売店に行くと、会社の先輩が、奥様から頼まれて特別にお願いしている「ローズ水」があるというので、私も真似をして買うことにしました。どうやって使うのかうかがったところ、化粧水代わりにしてるよということで、私もそのようにしてみところ、あら、なんとなくいい感じでした。和菓子屋さんでは、ローズ水は、きっと和菓子の香りづけに使われていたのではないかと思いますが、化粧品のようなきれいな瓶1本で、たったの1000円でした。その頃は、お高い化粧品がいいのだと思うような価値感の中で生きていたので、製造方法や産地などに興味を持つこともなく、リピートせず終わったように記憶しています。ただ、香りはしっかりと覚えていて、今思うと、あれはきっと、ブルガリアのダマスクローズだったと思います。

かくしてその後 紆余曲折・・・はあったかどうかはわかりませんが・・・植物療法士になって あのときのローズ水が、フローラルウォーター(芳香蒸留水)だということを知りました。そして、それが如何に貴重で、お肌や身体によいのかも、理解することとなりました。


◇お肌のトラブル知らず

植物療法を学んでからは、ローズとラベンダー、その芳香蒸留水は、私の美と健康の相棒となりました。with B  (Beauty water) です。(笑)
私の開催する講座に参加してくださっている方の中には、私のように、with B を手放せなくなっている方も多く、年に何度か、フランスのダマスクローズとワイルドラベンダーの1Lボトルをたくさん仕入れています。有名メーカーの化粧水などと比較しても大変お安いですし、加えて、年齢や肌質やコンディションを問わず、適用してくれる優れものです。かつての私のように、肌トラブルを抱えていても、お高い化粧品を使うことで安心を買っているような、そんな思い込みに支配されている人こそお使いになっていただきたいとも思います。

 

◇塗る薬 : 全身トリートメントで、皮膚から取り入れるローズの効果

2011年ごろ すでに植物療法士としてスタートしていた頃ですが、企業の広報誌の編集長として6年におよぶハードな毎日を支えてくれたのが、ローズでした。リーマンショックでグローバルレベルでの経済の混乱のあおりを受けて、さらには、未曽有の震災による大変な時期を乗り越えるために、オフィスの仕事も過酷さが増していた時期でした。疲労が蓄積するときには、自律神経のバランスやを崩し、ひきずられるようにホルモンのバランスを崩してしまう、体の痛みとして現れる、そんなことが時々やってきました。好きな仕事を元気に続けていくためにも体調管理も必須。オフィスから5分と離れていないあるひとつのサロンに出会い、どうにもならなくなると駆け込んでいました。サロンは今も健在で、ペルシャローズ(イラン産)の精油ローズオットーを贅沢に使ったオールハンドの全身ボディマッサージをしてくださいます。美容整体をベースにした手技で全身のゆがみを取りながら、リンパを流してコリやむくみを丁寧にほぐす手技はみごとですし、ローズの香りと全身をオイルにつつまれ、芳香成分がもたらす効果と皮膚からの薬理成分の吸収による効果で、老廃物ができった翌日以降には心身ともに回復していくのがわかりました。昨年の春、代表の女性とお会いすることができ、私がかつてどんなに救われたかの感謝の気持ちを伝えることができました。お話しをうかがうと、創業のきっかけは、やはり、私が感じていたような同世代に起こりがちな心身の不調だったこと、そして、同じ状況下の人たちの助けになればとの志にあったことを知りました。やっぱり ローズってすごいんだ!! と、確信が強くなりました。

◇飲む薬 : 精神的なダメージの回復 産後鬱・壮年性不眠症

それから、また別の機会に、あるひとりの女性とお知り合いになりました。
今は50代の半ばを迎えられたその方は、3人目のご出産後の30代の後半から、産後鬱で、とてもつらい思いを長年にわたって経験されたということを聞きました。そこで、その鬱から彼女を救いだしたのも、ローズでした。

その経験を踏まえ、日本で唯一 ブルガリアの政府公認のローズの精油やウォーターを輸入し製品化と販売をする会社を立ち上げられました。日本では、まだまだなじみが少ないローズウォーターの食用について、イタリアンやフレンチの著名なシエフやパティシエのみなさんへ働きかけ、ローズをつかったお料理やスウィーツを作っていただいて、日本での普及化を目指そうとする活動をされています。

ちょうどその時期にご相談をいただいた友人のお母様が壮年の不眠症に悩まれていらっしゃいまして、ローズウォーターの飲用をお試しいただいたところ、効果覿面!! 続けて飲まれ、ほどなく状況は改善をされました。このことは、私にとっては、ローズの効果・効能を確信するひとつの事例となつています。 

蛇足ですが、私がFBで1月2日に投稿した「ラデュレ」は、ローズを使ったスウィーツが有名です。一年の初めに、親子で美と健康を願って、大いにいただきまくったと言う、実は深い狙いがあったのです。

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サン=トノレ・ローズ・フランボワーズ」シャンティというふわふわのクリームからは、ローズの香りがします

◇南仏での「奇跡の薔薇」との出会い

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標高1600m ボイヤーさんの農園 

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私たちが見えなくなるまで こうやって見送ってくれる 仲の良いご夫婦です

 

そしていよいよ、2016年と2017年南仏です。

ニースからグラースを経由して向かうコードダジュールアルプスへの旅。
ボイヤーさんのご夫婦と出会う幸運に恵まれました。目の前でみる薔薇の畑は、感動でした。そして、花の収穫と水蒸気蒸留に立ち会わせていただくことができました。石田佳奈子さんなくしては、この素晴らしい経験をすることはできませんでした。心から感謝の気持ちでいっぱいです。今まさに、ローズオットーが そして ローズウォーターが!!! こうやって出来上がったものが、私たちのところへやってくるのですね。

 この標高1600mに咲く薔薇については、実は、とても感動的なストーリがありました。

 ひとつは、2016年。ボイヤーさんのご夫婦が大切に育てている薔薇が咲く時期にあわせて私たちはフランス入りをすることを計画していましたが、日本を出発する前にすでに、開花が遅れていることを知らされ、収穫体験は断念と聞かされていました。

しかし、渡仏して数日、なんと、ちらほらでありますが、咲きだしたというのです。ニース到着から4日目 辿り着いたその場所で、私たちの目の前には 薔薇の花が咲いていてくれました。そして、収穫量はほんの少しだったにもかかわらず、ボイヤーさんが、釜をたいてくださったのです。その年のローズの初釜です。今思い出しても涙が出てきます。その場の空気を全部吸い込みたい気持ちで ずーっと 見守りました。ああ、なんて幸せな。

 

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ステンレスの蒸溜釜に私たちが収穫した薔薇の花びらを入れていよいよ蒸溜 蒸溜の際には銅の棒を入れます。 

2017年 再びのボイヤーさんの農園。今度は、7月中旬にラベンダーの収穫にまいりました。先駆けてグラースのローズ祭りに合わせて5月末に開催されたローズのツアーは、ボイヤーさんの農園では悲しいことに春の長雨で薔薇は全滅し、せっかく出向いた参加者も標高1600mの薔薇に出会うことはできなかったと聞かされていました。が、その後、奥様アベリンさんの努力の甲斐あって、なんと、私たちが訪れた7月には 復活を遂げていたのです。満開の薔薇と収穫に立ち会うことはできませんでしたが、青々と復活した薔薇の枝葉をみることができて、本当に幸せな気持ちになりました。奥様のアベリンさんが畑で語ってくれた 復活のストーリーにも心打たれるものがあり、心がふるえてしまいました。

後に、佳奈子さんが、標高1600mで薔薇を咲かせるということは並大抵のことではなく「やっぱり奇跡の薔薇なんですよね」とつぶやいた言葉に、心を打たれました。

 そして、その後収穫された復活した薔薇が今 ローズウォーターとして私たちの手元にあるということの素晴らしさ。ひとりでも多くの方に、この素晴らしい ローズウォーターをお伝えしていきたいという気持ちでいっぱいです。

 

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アベリンさんの工房。精油とフローラルウォーター、バームなど

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 ただ今取り扱っているローズとラベンダー 信頼のフローラルウォーターです。

◇ローズの精油(ローズオットー)と芳香蒸留水(フローラルウォーター)

 誰しもが経験する女性ならではの疾病の多くは、ふたつの女性ホルモンのアンバランスや、不足が原因だったりする場合が多いと考えています。女性ホルモン様という作用がある植物はいくつかあって、生活に取り入れていくことで、穏やかに時には、ストレートに、その症状を改善していくことができます。その筆頭が「Rose 」です。

ローズオットーは、200輪の薔薇の花でたった1滴0.05mlしかとれません。その他は水蒸気が冷やされてまた水に戻るときに、薬効をもった水として、産出されます。上澄みが精油ローズオットーです。このローズオットーはこのようにとても貴重な植物の芳香成分を濃縮したものです。作用も高いですが、正しい使い方をしないとお肌への刺激が強すぎることがあります。また、日に当たるとシミや炎症につながる可能性のある成分、妊婦さん・小さいお子さん・高齢者の方などには使用できない成分を含むものもあります。そのため、精油は基本的にそのままでは使うことができず、植物油(キャリアオイル)などで薄めて使う必要があります。そして、精油を植物油に薄める際も、希釈(濃度を薄めること)の濃度など、注意しなければいけないこともあります。

 一方、ローズウォーター(芳香蒸溜水)は、価格もお手頃で、たっぷりと使うことができ、香りを楽しむことができます。もちろん、お肌にもいいですよ。でも、やっぱり飲んだ効果をぜひ体感していただいきたいと思います。実は、Roseの薬効成分は水溶性で、ウォーターにこそ溶け込んでいるものも多いのですし、精油成分も微量ですが溶け込んでいます。ただし、市販のものでは、飲用につかえるものは限られます。なんでもいいと言うわけにはいきませんので、ご注意をお願いいたします。

精油も時には、カプセルになったもので服用します。高価なので、ダメージが大きいときのスペシャルなケアですが、不快な症状は翌朝にはすっかり改善されていますし、お肌のトーン・透明感が全く違います。

精油には、ローズアブソリュートという方法もありますが、それは、薬品を使って香り成分を抽出するので、植物療法として服用は厳禁です。固くお伝えしておきます。そんな無理をするよりは、ウォーターの日常使いの方が、現実的です。

 

◇ローズウォーターの薬理効能

以下にまとめさせていただきます。

オイゲノール:

抗酸化やデトックスに高価があると言われています

シトロネロール:

真菌の増殖を抑える働きがあり、血圧降下作用があると言われています

ネロール:

抗菌作用やストレス緩和、ホルモンバランスを整える働きがあると言われています。

ラニオール:

加齢臭の原因であるノネナールを抑制して、体臭を和らげます。また、強壮作用や女性ホルモンの分泌を助ける働きがあると言われています。

フェニルエチルアルコール:

アルコールといってもお酒ではなく炭化水素の一種で、鎮静作用があり、不安な気持ちを落ち着かせストレスを緩和すると言われています。 

女性ホルモンの分泌を助け、心の不安定を安定に導き、抵抗力が低下する際に菌から我が身を守り、そして、何よりも女性としての美しさを保たせてくれる。女性とっては、生活をサポートしてくれる強い味方であるということをおわかりいただけると思います。ローズがあれば、加齢によるお悩みの多くは、解決することができるのです。

 

◇2018年の講座について

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ロッコのダマスクローズと浸出油 講座ではこちらのオイルを使ってワークショップができるといいなと考えています

 

今年の「季節のハーブのおたより講座」は、2月からスタートしますが、まず、このローズのお話会から。通常は、1度しか開催できませんが、今回は、数回企画していきたいと思っています。2018年 ローズを味方につけて、ぜひ、美しく健康に過ごしていただきたいと思います。このローズのお話会については、間もなく、告知させていただきますので、今しばらく、お待ちくださいますようお願いいたします。

今月も最後までお読みいただきありがとうございました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

Kimikimiでした。