les feuilles

ルボア卒業生AMPP認定マスター/メディカル・フィトテラピストによるフィトテラピーな毎日

Provence-Alps-Cote d'Azur地域圏への旅

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念願のワイルドラベンダーに会えました。

と、、書き始めて思い出すだけで、涙が出てきてしまいました。12年思い続けてやっとたどり着きました。フィトテラピストになるよりも前に、パリで1本の精油に出会ってから忘れることのなかったその香りです。 

今は廃墟となってしまったお城のあったその場所は、思うよりも荒涼とした石灰質の岩山。乾ききったその土地で、毎年毎年誰に見られるでもなく咲く植物たちがそこにいました。帰国して2週間たちましたが、今も「あの場所にいられたことが奇跡」と胸がいっぱいです。

 本当に貴重な「野生の真正ラベンダー」透明で甘くさわやかな香りに、絶対的信頼感。極端な話、上質なラベンダーとローズがあれば、大概の症状に対応できると私は考えています。女性の美肌の維持はもちろん内面をぐっと豊かにしてくれるローズと、年齢を問わない皮膚のトラブルの対応と時には心の高揚そして鎮静に優れるラベンダー。

昨年は、標高1600mに咲く奇跡のローズ、今年は、1600級高山に自生する野生ラベンダーとローヌ=アルプス地方標高1300m級高山の野生ラベンダーに出会い、深く知る旅にいくことができました。そもそも、こんなことが実現するなんて奇跡 !    ひとりの素晴らしい女性に出会わなければありえなかった奇跡なんです。出会ってからずっとずっとお世話になっている石田佳奈子さんと頼れる現地アテンダーのマエリアさんに心からありがとうをお伝えしたいと思います。

2年にわたるProvence-Alps-Cote d'Azur地域圏への自然療法を学ぶ旅は、それはそれは大きな感動とともに、植物療法への理解をさらに深めていく貴重な機会となりました。

まずは、いくつかのラベンダーの横顔を写真でご紹介しますね。香りがお届けできないのが残念です。それは、また、「季節のハーブのおたより講座」で、リアルな体験をお届けしたいと思います。

 ◇荒涼とした地に自生するワイルドラベンダーを収穫。この地域は、3ケ月も雨が降っていないそうで、今年はカラカラに乾いて白くなってしまっているラベンダーが多いとのこと。ひと株全体の花の部分を丸ごと刈り取ってあげると来年また綺麗な花を咲かせるそうです。

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◇岩場なのがわかりますか?

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◇幸せの絶頂 ほんとうに感動です。

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◇滞在したアルプスのロッジ裏のラベンダー畑 夕暮れです。

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◇朝です

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◇アルプスの山の朝はさすがに寒かったです。朝のすんだ空気とさわやかなラベンダーの香りに包まれて幸せ。深呼吸。身体が浄化されていくようでした。

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◇植物が共存しています 

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 ◇有名なラベンダー街道の畑 大量生産のラバンディンです。収穫はダイナミック!

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◇採油量の多いのラバンディンの枝 3本に枝分かれが特徴。

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◇日本にやってきた奇跡の精油の生産者のボイヤーさんです

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◇日本にやってきた奇跡の精油の生産者のルソーさんの畑 奥様が案内をしてくださいました。これは、ラバンディン 石灰質の岩がゴロゴロした畑です。

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◇これが、真正ラベンダー。きれいな黄色い色の蝶々も気持ちよさそうです。

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◇ルソーさん登場!!

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◇去年ワイルドローズの収穫でお世話になったクリスティーンさんとマルシェで再会。このように、生産者さんが直接売りに来ています。

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フィトテラピーについて

後半は、せっかくなので、これを読んで下っている方へ、フィトテラピー=植物療法って何?ということに、触れてみたいと思います。

近代の薬の多くは、植物・動物・鉱物などに含まれる有効成分を抽出し、化学的に変化を加えたり、化学合成することによって現在まで創り続けられてきました。

よく知られている話では、

・ケシの実からがん患者の痛みの緩和に使用される「モルヒネ」。

・ヤナギの樹皮から解熱鎮痛剤成分の「アスピリン」。

・「抗マラリア薬のキニーネ」は、アンデスの高地に生えるキナの樹皮から。

有効成分を純粋な結晶として取り出すことができた近代薬学の幕開けから、多くの薬学者たちにより古来使われてきた薬草や有毒植物などから、有効成分を取り出す研究が脈々と続けられています。そしてそれらは、歴史をさかのぼれば、シンプルに植物そのものを活用して治療をしていたという事実にたどり着くのです。身近な植物を有効活用して、治療や治癒をしてきたわけですね。人間が自然と共存して恩恵をうける、それは、生活の知恵・工夫として、当たり前のことだったのだろうと思います。

南フランスの地を訪れると、写真でみていただいたラベンダーのように、力強く自生している植物たちと出会います。そして、そこに住む農家や専門家のみなさんの熟練の技で、基材がつくられています。いつ、どんな時期に、植物のどの部分を利用すればいいのか? それをどのように使えば有効なのかを熟知した上で、心をこめて、自然と寄り添いながらつくられるのです。

精油・蒸留水・チンキ・浸出油・ドライハーブ(ティザンヌ)・フレッシュハーブ

それをつかってつくられる植物成分のみの無添加の オイルカブセル・化粧品・石鹸・ミックススパイス・コーディアルや薬膳酒。そんなものが、すぐ選択できる環境にあること、特別なことではなく 生活に根ざしてきたそのことそのものが、自然療法フィトテラピー(植物療法)の原点なのだと思います。

◇ワイルドラベンダーのドライ 水蒸気蒸留法で精油と芳香蒸留水をつくります。
この精油のために、山を買ってしまったという石鹸の匠。
妻を愛するムシュの横顔もチラチラと。おふたりで山を歩く姿が素敵だなぁと妄想。

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◇ワイルドラベンダーの精油 前述ルソーさんの銅釜で蒸溜された香り高き精油。  

     LAVANDE SAUVAGE=WILD LAVENDER

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精油を使って作られた石鹸

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◇オリーブオイルとワイルドラベンダーの精油でつくられたのボディソープ 
    奥様とふたりで、何年もかけて完成させてたという液体ソープ。あまりの使い心地の良さに、右の大きい方のボトルを購入。一緒に日本に連れて帰ってきました。

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薬は製薬会社で作られそれを買うものと考えている多くの日本人とはまるで違う考え方やフランス人の生活環境に触れ、植物療法の取り入れ方も、さらに深く理解することができた旅となりました。

もちろん、私は薬を否定的には考えていません。むしろ、使わずしてどうするとさえ思います。が、忘れてはいけない大切なことがあります。それは、提供する側にも、受け入れる側にも一定のルールがあることです。

・全てのチョイスは自己責任だということ、

・副作用のない薬は存在しないということを理解して享受するのだということ

・薬はあくまでも点でしかない、身体全体ではなく、そしてさらには、万能薬はないということなど、

これらを理解して活用しないと不幸への扉を開くことになってしまいます。

そもそもは、そこに至るまでの、未病の段階での自己管理こそが大切だということを理解し、実践していくことが重要です。自分にしか分からない体調の変化。何が原因で不調を招いているのかを知っているのは、「わたし」だけなのですから。

未病の段階で毎日の生活に無理なく取り入れられるメンテナンス方法が、フィトテラピーです。専門知識を習得しお手伝いさせていただいているのが、わたしたち、植物療法士ということになるのでしょうか? 

今回の旅の経験を生かして、皆様のお役にたてればと思います。

 

さて、未病の段階での植物の活用方法。実践的なセミナーを開催しています。ご興味のある方は、Kimie Yokoi のFBページをのぞいてみてくださいね。

次回は、「スパイス活用術~シナモン~」です。スパイス調合家・料理家の先生とのコラボセミナーです。理論に加え、シナモンとその他のスパイスを調合し、さらに、おいしいお料理も作ります。美味しくいただいて健康に!来月レポをさせていただきますね。
今月もお読みいただきありがとうございました。kimikimiでした。

なお、タイトルカバーのお写真は、マエリアさんが撮影してくださったものを使わせていただきました。標高の高さをお伝えできるかと思います。一番左が、「石田佳奈子さん」です。

※以下、過去の関連記事をご案内します。ご一緒にお読みいただければ幸いです。

lebois-medi02.hatenablog.jp

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